獣は人間の道具ではなく,野に在るように在ってほしい,と願うエリン。彼女の運命を描いた壮大なファンタジー。
戸が開いた音で,エリンは目をさました。
夜が開けるにはまだ間がある時刻で,雨が薄板葺きの屋根を打つ音が,闇の中に絶え間なく響いている。
母が,土間の水場で手を洗っているのが,ぼんやりと見えた。足音を忍ばせて寝間にあがってきた母が,寝具に身体を滑りこませると,ふうっと雨の匂いと,闘蛇の匂いが,漂ってきた。
(13ページより)
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映画監督ピロキ
日本が世界に誇るファンタジー作家です。リアルタイムで、しかも母国語で読める幸せを是非味わってほしい。いつか実写で映画化したい作品のひとつです。
- テーマ・ジャンル
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